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新年挨拶

大森病院 酒井 謙
 新年おめでとうございます。2025年初頭の挨拶をさせていただきます。1925年創立の東邦大学は本年創立100年を迎えます。沼地の多かった蒲田の地において、100年間医療を提供してまいりました。大田区は都区部人口第3位、面積第1位につけており、横浜、品川、羽田空港に近く、都内主要立地と考えます。これからも地域医療の最後の砦として機能してまいります。

 さて、2020年1月から人間社会を大混乱に陥れた、新型コロナウイルス感染症ですが、人類と当院職員の叡智によりまして、2023年5月第5類へと変更後、大小の波はありますが、共存克服の形を得ました。病院とは日々、喜びと悲しみ、ひらめきと怒り、共感と再生を繰り返しながら、人間学を学ぶ場所でもあります。毎朝のカルテチェックで、教職員の日夜の努力を知る毎日です。

 近代科学と同様に近代医学は個人と疾患を切り離して発展しました。各疾患の専門分野が連立すると「ここは私の領域」「ゆえにそこは私の領域でない」というように、バレーボールコートのセンターに相手方のサーブ球が落ちることが良くあります。今一度、高齢=多臓器病変の立場から、内科外科連携、診療科連携、地域連携が深まりますように努力したいと思います。自分が拾わねばだれが行う、この病院がとらなければ誰がやる、そのような思いの文化が大切です。具体的には、総合診療的視野とERチームの醸成です。

 近年は、経済的に存立できない医療機関が増え、人材はより安易でHYPOACTIVEで、高収入へと流れ去り、赤字経営の大学病院すら増加しています。医療産業の企業目的は経営ではありませんが、経営不振ではまず、医療安全から脅かされます。財政健全化はとても大事な事業で、昨今の我が国の医療事情の最たる危機であります。

 そのような中、大森病院の地区再開発が昨年から始まりました。ご存じのように、若草寮および平面職員駐車場は閉鎖解体されます。結果的に広がる平地に地下1階地上7階の新外来棟が建設されます。竣工は令和9年の予定で、地下駐車場の他、1階には小児・整形外科の外来が入ります。2階部分は、医事課、総合相談、受付業務、入院業務機能(My Station)が入り、3~5階はデイサージェリーを行うアイセンターや、化学療法室も予定されています。緑濃い、憩いのスペースを基調に、6階7階では学会も主催できる講堂と、小会議室の数々が誕生します。100周年に向けた、診療文化の刷新において、新しい建物は新しいmotivationを生みます。医療ほど、助けを求められる職業は他になく、その初心に帰るinovationが今必要です。

 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。