診療科・部門のご案内

病院病理部

スタッフ紹介

部長 澁谷 和俊 部長 澁谷 和俊
氏名 職名 専門領域
澁谷 和俊 部長(教授) 外科病理一般、感染症の病理
根本 哲生 副部長(准教授) 腫瘍病理学、消化管病理学、
腎病理学
篠﨑  稔 次長 臨床検査技師・細胞検査士
臨床検査技師 12名(内 細胞検査士10名)・医療事務員1名

業務内容・特色

病院病理部は医学部病院病理学講座、病理学講座ならびに本院病理診断科との密接な連携のもと、当院における病理診断全般(組織診断、細胞検査および剖検)を行っています。病理診断は病気の最も確実な診断方法であり、「最終診断」ともいわれます。多くの疾患において、治療方針を決める上で重要な情報となります。病理診断部門の充実度が病院の実力を反映するといっても過言ではありません。

1.組織診断

内視鏡検査や手術などによって摘出された組織から、顕微鏡観察を行うガラス標本(プレパラート)を作製します。ガラス標本完成までには固定、包埋、薄切、染色など多くの工程を経ますが、いずれも専門的知識に裏付けられた技術が要求されます。手術中に短時間のうちに組織・細胞診断を行う術中迅速診断は、病変の拡がりを手術中に確認して、切除の範囲を決定する場合などに役立ちます。標本作製・診断とも熟練を要しますが、手術チームの強力なサポートとなります。

2.細胞診

自然剥離細胞(喀痰・尿等)、エコー下の穿刺吸引細胞診(乳腺・甲状腺・リンパ節等)、婦人科擦過細胞診、液状細胞診(胸水・腹水・心嚢液等)などが対象です。前述の組織診断に比べて材料を採取する際の侵襲が少ないのがメリットであり、かつ多くの情報が得られる検査です。厳しいトレーニングの後、日本臨床細胞学会の試験に合格した細胞検査士が担当します。当部の細胞検査士の多くは国際資格も取得しています。診断は細胞検査士と細胞診専門医とがともに検鏡、合議の上で行います。

3.病理解剖(剖検)

不幸にして患者さんが病院で亡くなられた際、主治医から、患者さんの病理解剖をお願いすることがあります。解剖では生前の診断の妥当性、臨床的な問題点、治療効果などが検討され、医師の資質向上、医療の質の向上に役立てられます。

4.常に新しい研究結果を取り入れて

当部では分子生物学の進歩を積極的に日常診断に取り入れています。免疫組織化学的解析では、常に最新の研究結果を調べて、新しい有用な抗体を導入するように努めています。また遺伝子を可視化し形態と対応して検索しうるFluorescent in situ hybridization(FISH)法も、乳癌の診断や病原体の同定に活用されています。

5.病理資料の管理と活用

これまでに当部でなされた病理診断は60万件を超え、病理標本 (ガラス・パラフィンブロック)、写真(カラースライド・デジタル画像)などの資料は膨大なものとなっています。病理資料は原則的に永久保存され、患者さんの転院時の標本複製、がん再発時の初発病変との比較検討などに対応しています。また疾患の研究(症例報告・後方視的研究)のためには病理診断と病理標本とが不可欠です。資料の管理と活用も病院病理部の重要な仕事です。

研究

白血病治療など高度な医療の普及に伴って、深在性真菌感染症が大きな問題となっています。日本医療研究開発機構による委託事業を2件推進し、病理検体における真菌感染症の正確な診断方法の開発に取り組んでいます。

実習生の受け入れ

当病院では複数の学外教育機関より実習生を受け入れています。
カリキュラムを以下に呈示します。

下記画像クリックで拡大表示【印刷用PDFファイル】

検査件数

検査 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
組織診断 10,358 10,489 10,905 11,441 11,606 11,939
術中組織診断 269 349 409 483 475 489
細胞診診断 15,481 14,998 15,111 14,829 14,136 13,954
術中細胞診 143 131 158 151 132 153
免疫抗体法 1,671 1,811 1,985 2,230 2,356
電子顕微鏡 279 255 270 249 301 328
病理解剖 61 44 51 40 51 47
剖検率 5.1% 4.0% 4.4% 4.1% 5.2% 5.2%
患者様に対する適切な治療を行うために、病理組織診断は最終診断として大切な役割を果たしています。病院病理部では、病理検査を専門とする臨床検査技師が、患者様の病変部位から採取された組織や細胞から顕微鏡で診断するためのガラス標本を作製します。この標本に対して、病理診断を専門とする病理診断医が顕微鏡で観察して診断をするのが病理組織診断です。また、患者様に対してより侵襲が少ない状態で検体が採取される細胞診断は、専門の資格を有する細胞検査士が異常な細胞を抽出し、細胞診専門医と協力して細胞診断を行っています。表に示したように年間それぞれ10,000件以上の組織診断と細胞診断を行っています。さらに、術中迅速組織診断や細胞診断では、手術中に採取された病変組織や細胞から短時間で病理・細胞診断が行われ、その診断結果は直ちに執刀医に連絡され、手術方針が決定されます。
これらの形態学を主体とする病理・細胞診断では、しばしば診断が難しい症例に遭遇します。その際は、抗原抗体反応を組織・細胞診断材料に応用した免疫組織化学的染色や遺伝子学的技術を応用したFluorescence in situ hybridization(FISH)法やDual Color in situ Hybridization(DISH)法が補助診断法として用いられます。年間で2,000症例を越える症例で免疫組織化学的手法を用いた診断が行われています。近年、癌細胞が発現する特定の蛋白質に対してその阻害剤を投与する分子標的治療が成果を挙げており、その治療効果を予測する判断にもこれらの手法が用いられています。
不幸にも患者様が亡くなられた場合には、ご遺族の承諾のもとに、ご遺体を解剖させていただく場合があります。この病理解剖により、生前診断に誤りはなかったか、治療していた病気がどの程度進行していたのか、施された治療は適切で、その治療効果はどの程度であったかなどが判断されます。これらの解剖結果は執刀した病理医から主治医に報告され、ご遺族にご説明いたします。これらのデータは日本病理学会により全国の病理解剖の情報が集計され、日本病理剖検輯報という形で毎年公表され、今後の医療の発展に貢献することとなります。

地域連携への取り組み、姿勢

他施設との情報共有を念頭に、各種癌取り扱い規約にしたがい記載を標準化、図・写真を添付し、わかりやすい報告を心がけています。情報の電子化、標本の永久保存等、生涯にわたる地域密着型医療を支えます。細胞診では近隣の医療施設との勉強会を主催し細胞検査士の知識・スキル向上のため平成4年から月1回の勉強会を開催し現在、200回を数えています。

紹介時のお願い

  1. 病理診断目的のご紹介も、まず臨床各科へご紹介ください。
  2. 貴院にて病理・細胞診断が行われている場合は、標本(プレパラート)とともに、貴院での病理報告書のコピー等を患者さんにお渡し下さい。以下の項目が記載されていると大変参考になります。
    1)臨床経過(臨床診断、御依頼目的、画像所見、他の検査結果)
    2)組織採取部位、方法
    3)切り出し(標本作成)部位
    4)病理診断